新会長就任の御挨拶
株式会社IHI
六ケ所建設工事事務所 所長 難波 健太郎
暑さ厳しき折、再処理企業協議会会員企業の皆様におかれましては、ますますご隆盛のこととお喜び申し上げます。平素より当協議会の活動に対し格別のご理解とご支援を賜り、厚く御礼申し上げます。日頃より現場最前線での安全確保と品質向上にご尽力いただいておりますことに、改めて深く感謝申し上げます。
このたび、再処理企業協議会第15回特別会員総会において会長を拝命いたしました、株式会社IHIの難波でございます。2020年度以来、6年ぶりの再登板となりますが、重責を改めて痛感するとともに、身の引き締まる思いでおります。
これまで歴代の会長・役員の皆様、そして会員企業各社のご協力により培われてきた取り組みと成果を大切に引き継ぎつつ、新たな課題にも柔軟かつ着実に対応していけるよう、微力ながら全力を尽くしてまいる所存です。皆さまの変わらぬご指導とご鞭撻、ならびに温かいお力添えを賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
さて、2026年度は「再処理工場のしゅん工」の年として位置付けられており、再処理工場内での作業に従事する私たちにとって、施設の完成度を確かなものとし、その後の安定運転につなげていくうえで、極めて重要な1年となります。
この「しゅん工」という大きな目標に向けて、多くの会社様におかれましては、業務量の増加や人員増強、体制強化等のご対応を進めておられることと存じます。新たな人材が多数加わることは、現場の活性化や技術の継承という観点からは大きな力となる一方で、作業環境の変化や経験・知識の差異などにより、労働災害や不適合発生の可能性を高める要因の増加にもつながりかねません。限られた期間の中で成果を求められる状況だからこそ、「安全と品質はすべてに優先する」という原点に立ち返り、慎重の上にも慎重を期した取り組みが求められます。
一方で、昨年の再処理工場内で発生した労働災害に目を向けますと、「本作業以外(付帯作業、移動中など)」での災害が多い傾向が確認されています。
これは、作業間の移動時における焦りや注意力の低下、準備・片付けといった付帯作業に対する危険認識の不足に加え、指示・連絡の行き違いや作業者同士のコミュニケーション不足により、危険情報や作業条件の変化が十分に共有されていないことなどが一因となっているものと考えられます。いわば、「仕事の本番」ではない場面で気持ちが緩み、ヒヤリハットが顕在化しているとも言えます。
とりわけ、新たに加わった方々にとりましては、構内動線やルールへの不慣れに加え、周囲との意思疎通が不十分なことから、危険箇所の見落としや動線の競合が生じやすくなります。ベテランと新人、元請と協力会社など、立場や経験の異なる人同士が入り混じる現場では、「分かっているだろう」「伝わっているはずだ」といった思い込みが、重大なリスク要因となりかねません。
これらのリスクを低減するためには、本作業のみならず付帯作業や移動中も含めた危険予知(KY)の徹底に加え、朝礼や打合せ、作業前ミーティング等を通じた情報共有とコミュニケーションの活性化を、日々の業務の中に確実に組み込んでいくことが重要な対策であると考えております。小さな違和感や不安をその場で声に出し、互いに確認し合える職場風土づくりが、災害・不適合ゼロへの近道です。
再処理企業協議会では、これらの対策実施に向けた会員企業様の活動をより一層支援するために、本年におきましても、3つの柱の活動方針に基づいて多種多様な活動を計画しております。
【活動方針】
(1)会員企業に共通する技能訓練・教育の充実
(2)研修に関する事業の推進
(3)会員企業相互のコミュニケーション推進のための事業の展開
第1の柱である「技能訓練・教育の充実」では、現場作業に直結する実技訓練に加え、リスクアセスメントやヒューマンエラー防止といったソフト面の教育も組み合わせることで、安全・品質の両面から総合的な能力向上を図ってまいります。
第2の柱である「研修に関する事業」では、現場指揮者教育の拡充や階層別・職種別研修などを通じて、現場をリードする中核人材の育成を一層強化してまいります。指示の出し方・受け方、リスクコミュニケーションの在り方など、現場マネジメント力の底上げにも重点的に取り組みます。
第3の柱である「コミュニケーション推進のための事業」では、情報交換会や事例発表会等を通じて、各社が有する優れた取り組みや教訓を共有し、相互に学び合う場を拡充してまいります。
これらの柱に基づき、安全衛生に関する情報提供や教育・研修の実施、現場指揮者教育のさらなる拡充、さらには意見交換や事例共有の場の提供などを通じて、現場の実情に即した実効性の高い対策の定着を図ってまいります。
また、本年は特に、企業の垣根を超えた交流活動の推進に重点を置き、昨年の取組に加えて新たな企画も実施することで、会員各社間の事例共有や情報交換を一層促進してまいります。同じ再処理工場で働く仲間として、お互いの強みを持ち寄り、弱みを補い合う「顔の見える関係」を広げていきたいと考えております。
各社におかれましては、これらの取り組みに積極的にご参加いただき、さらなる安全水準の向上と労働災害ゼロの職場づくりに向けて、引き続きご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
また、今年は日本全国的に近年にはないスピードで桜前線が北上し、青森県においても例年に比べて1~2週間早く桜が満開となりました。気候変動の影響も指摘される中、気温の上昇時期も平年より早まっていることが予想されることから、例年にも増して早い段階からの熱中症対策が重要となっております。
現場におかれましては、こまめな水分・塩分補給や休憩の確保、服装や作業時間帯の工夫といった基本的な対策に加え、体調の変化を互いに声に出して伝え合う、少しでも様子がおかしいと感じたら声をかけ合うなど、相互コミュニケーションを通じた対策の徹底が何より大切です。「自分は大丈夫だろう」と無理をせず、周囲の仲間の言葉にも耳を傾けていただき、組織全体で熱中症を未然に防ぐ意識を高めていただきたいと存じます。皆さまにおかれましては、今まで以上に健康管理にご留意いただき、安全で快適な職場環境づくりに引き続きご協力賜りますよう重ねてお願い申し上げます。
最後になりますが、今年より新たにご参加いただいた企業の皆様にも、再処理企業協議会の活動にご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げますとともに、会員の皆様のご健勝とご活躍、そして一層のご発展を心より祈念いたしまして、会長就任のご挨拶とさせていただきます。
ご安全に。